9月から10月にかけては台風が多く発生し、日本各地で住宅の被害が報告されます。
強風や大雨はもちろん、飛来物による破損や雨漏りなどによる被害の多くが「屋根」と「外壁」に集中しています。
屋根や外壁は家を守る大切な部分ですが、普段はなかなか気にして見ない場所でもあります。
そのため、劣化に気づかないまま放置してしまうことも多く、台風の時に一気に問題が表面化してしまうことも少なくありません。
この記事では、台風シーズン前に確認しておきたい屋根・外壁のチェックポイントを分かりやすく解説します。
ご自宅を守るための参考にしてください。
台風による住宅被害の代表例
まずは、実際にどのような被害が起こりやすいのかを見てみましょう。
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瓦やスレートのズレ・飛散
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棟板金(屋根の頂上にある金属部材)の浮きや外れ
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雨樋の外れや詰まりによる排水不良
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外壁のひび割れから雨水が浸入
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強風で飛ばされた物が外壁に衝突して破損
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室内の雨漏りや天井のシミ
国土交通省の調査でも「住宅の風水害被害の約7割が屋根と外壁に集中している」と発表されています。
つまり、台風対策の第一歩は屋根と外壁の点検なのです。
屋根のチェックポイント
瓦やスレートのズレ・割れ
瓦やスレート屋根は、強風で少しでも浮いたり割れたりすると、その隙間から雨水が侵入します。
見た目は小さな欠けでも、放置すると下地の木材を腐らせ、修繕費用が高額になるケースもあります。
棟板金(むねばんきん)の浮き
スレート屋根や金属屋根で特に多いのが棟板金の浮きです。
釘の緩みから強風で外れてしまうと、そこから雨漏りが発生します。
屋根のてっぺん部分を遠目から見て、板金が波打っていないか確認してみましょう。
雨樋の詰まり・破損
雨樋に落ち葉やゴミが溜まっていると、大雨の際に排水できず、外壁や基礎に雨水が回り込む原因になります。
外れていたり曲がっていたりしないかも合わせてチェックしましょう。
外壁のチェックポイント
ひび割れ(クラック)
外壁に入ったひび割れは、雨水の侵入経路となります。
幅1mm以下の細いひびでも油断は禁物。長期間放置すると壁の内部にまで影響が及びます。
塗装の劣化
外壁塗装は家を守る「防水膜」の役割を果たします。
壁を手でこすって白い粉が付く「チョーキング現象」が出ている場合は、塗り替えのサインです。
コーキング(シーリング)の劣化
サイディング外壁のつなぎ目に使われているコーキング材は、5〜10年で劣化します。
ひび割れや隙間ができていたら早めの補修が必要です。
自分でできる簡単なチェック方法
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晴れた日に家の周りを歩いて外壁や屋根を見てみる
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双眼鏡を使って屋根瓦や板金の状態を観察する
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雨の日に天井や壁にシミがないか確認する
⚠️ 注意:屋根の上に自分で登るのは非常に危険です。地上から見える範囲の確認にとどめ、異常を見つけたら専門業者に依頼しましょう。
専門業者に相談すべきタイミング
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瓦やスレートの割れ・欠けを見つけた
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外壁に幅1mm以上のひび割れがある
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雨漏りが発生している
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築10年以上点検をしていない
こうしたサインが出ている場合は、できるだけ早めに業者へ相談するのがおすすめです。
小さな修繕で済むうちに対応すれば、費用を大幅に抑えることができます。
台風前におすすめのメンテナンス
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棟板金や瓦の補修
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雨樋の清掃
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外壁のコーキング打ち替え
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外壁塗装の塗り直し
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窓やサッシ周りの防水補強
これらを実施しておくことで、台風被害を最小限に抑えることができます。
実際の事例
事例1:屋根の棟板金補修
郡山市のお客様から「台風の翌日から天井にシミが出た」とのご相談を受けました。
現地調査したところ、棟板金が一部外れており、そこから雨水が浸入。早期補修で済みましたが、
放置していたら屋根下地まで腐食していた可能性がありました。
事例2:外壁のひび割れ補修
二本松市のお客様は、外壁のひび割れをそのままにしていたところ、
室内クロスにカビが発生してしまいました。シーリング補修で解決しましたが、もっと早く対応していれば室内の工事費は不要でした。
火災保険を活用できるケースも
台風による屋根や外壁の被害は、火災保険で補修費用がカバーされる場合があります。
「風災補償」が付帯されている保険であれば、修繕費用の一部または全額が補償されることもあります。
ただし、経年劣化や自己原因による損傷は対象外となるため、専門業者に調査してもらうことが重要です。
まとめ
台風シーズンは住宅にとって大きな試練です。
屋根や外壁は普段目に付きにくいため劣化を見逃しがちですが、小さなトラブルを放置すると大きな被害につながります。
秋を迎える今こそ、ご自宅を守るために屋根・外壁の点検をおすすめします。
「少しでも気になる場所がある」という方は、無理に自分で確認せず、まずは専門業者に相談してください。
早めのチェックと補修が、安心して台風シーズンを乗り越える一番の備えとなります。