
冬になると多くのご家庭で窓ガラスに「結露」が発生しているかと思います。
特に朝は、窓にびっしり水滴がついていることが多いのではないでしょうか。
実は、結露は窓だけに発生している現象ではありません。
結露は見えない「壁の中」や「床下」でも発生していることがあり、それがカビや腐食の原因になってしまうこともあります。
今回のブログでは、窓以外の結露対策に注目し、壁・床などの「見えにくい場所」に潜む結露のリスクと対策方法を詳しくご紹介します。
■ 結露の正体 ― なぜ発生するのか?
まず、結露が発生する仕組みを簡単に整理しておきましょう。
結露とは、空気中の湿気が冷たい場所に触れて水滴になる現象です。
たとえば、冷たい飲み物の入ったコップの外側が濡れるのと同じ原理ですね。
家の中では主に次のような条件が重なると発生します。
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室内の湿度が高い
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外気温が低い
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壁・床・窓などの表面温度が低い
つまり、結露を抑えるためには、湿気をためこまないことと、表面温度を下げないことが重要になります。
■ 窓だけの対策では不十分な理由
「結露=窓の問題」と考える方は多いと思いますが、実際は、窓だけではなく、壁や床の中でも同じようなことが起きています。
特に次のような環境では、窓以外の結露が発生するため注意が必要です。
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壁の断熱が不十分で、外気温の影響を受けやすい
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壁紙の裏や床下に湿気がこもっている
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家具を壁にぴったりつけていて空気が流れない
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床下換気口が塞がれている
上記で挙げたような環境では、見えない場所で結露が発生し、カビや木材の腐食が進むことがあり、
気づかないうちに家の寿命を縮める原因にもなりかねません。
■ 壁の結露 ― 見えないところに潜む湿気
1. 壁紙の裏に結露が発生することも
外壁に面した部屋では、外気温が下がると壁の表面温度も下がります。
暖房で温められた室内の湿気がその冷えた箇所に触れることにより、壁紙の裏側で結露が発生します。
この状態が続くと、壁紙の浮き・カビの発生・断熱材の劣化といった問題につながります。
壁の結露を防ぐためには、以下のポイントに気を付けましょう。
2. 壁の結露を防ぐポイント
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家具を壁から5cmほど離して空気を通す
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室内の湿度を50〜60%に保つ
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定期的に換気を行う
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結露がひどい部屋は断熱リフォームを検討する
断熱リフォームには、内断熱(室内側に断熱材を追加)と外断熱(外壁側で断熱)の方法があります。
既存住宅でも施工可能な場合が多く、冬の快適さが大きく変わります。
■ 床の結露 ― 床下の湿気が家を傷める
1. 床下結露が起こる原因
床下は外気の特に影響を受けやすく、気温差が大きい場所です。
特に冬場、暖房で温められた室内の空気が床下の冷たい部分に触れると、床下の構造材(根太・大引きなど)に結露が発生することがあります。
また、地面からの湿気が上がってくる場合もあり、放っておくとカビ・シロアリ被害・木材の腐食に繋がることがあります。
2. 床の結露を防ぐポイント
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床下換気口を塞がない
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換気扇付きの床下換気システムを設置する
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床下に調湿材(炭やシリカゲルなど)を敷く
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フローリング下に断熱材を追加する
特に築年数が経った家では、床下断熱材の劣化が見られることが多くあります。
「床が冷たい」「足元だけ寒い」と感じるなら、断熱リフォームを検討するタイミングかもしれません。
■ 天井・屋根裏の結露にも注意
意外と見落とされがちな結露の発生箇所が「屋根裏や天井裏」です。
エアコンやストーブなどの暖かい空気は高い位置に上がるため、冬は屋根裏でも結露が発生しやすくなります。
断熱材が湿気を含むと、断熱性能が低下し、カビや木材腐朽菌の原因になることもあります。
定期的に断熱材の点検を行い、必要に応じて断熱材の交換・防湿施工を行うことで安心して生活出来ます。
■ 結露を抑える生活の工夫
ここまで紹介したように、結露は窓だけではなく、様々な所で発生する現象です。
リフォームで解決する方法も多くありますが、ちょっとした工夫で結露を予防することも可能です。
結露の予防策の一部をご紹介いたします。
1. 換気の習慣をつける
寒い時期ほど窓を閉め切りがちですが、1日数回、5〜10分程度の換気を行うだけでも湿気を外に逃がせます。
2. 加湿しすぎに注意
加湿器を使う場合は、湿度が70%を超えると結露のリスクが一気に高まる為、
湿度計を確認しながら50〜60%を目安に加湿を行うようにしましょう。
3. 室内干しを控える
室内干しは部屋に湿気がたまり結露を起しやすくします。
どうしても室内干しをする場合は、除湿機を併用するか、
換気扇を回して湿気をこもらせないようにしましょう。
4. 家具の配置を工夫する
家具を壁に密着させずに、少し離して設置することで部屋の隅に空気がこもらないようにする。
■ 結露を放置するとどうなる?
結露は「拭けばいい」「ただの水滴ほっといても大丈夫」と思って対策をせずにいると、
場合によっては、次のような深刻な問題に発展することがあります。
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壁の中の木材が腐る
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断熱材が湿気を含み、性能が低下する
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カビの胞子が空気中に漂い、健康被害を引き起こす
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シロアリが発生する
特に小さなお子さまや高齢者のいる家庭では、カビによるアレルギーやぜんそくの原因になることもあるため特に注意が必要です。
■ 結露対策リフォームの選択肢
最後に、窓以外で効果的な結露対策リフォームの例をご紹介します。
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壁の断熱リフォーム:内装を一部剥がして断熱材を追加
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床下断熱リフォーム:既存の床をはがさずに施工できるケースも
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調湿素材の採用:漆喰壁・珪藻土・無垢材などで湿度を自然に調整
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換気システムの導入:24時間換気や熱交換換気システム
これらのリフォームは、結露を防ぐ効果だけでなく、住まいの断熱性アップ・断熱性が上がることで省エネ効果・住まいの寿命延長にも直結します。
■ まとめ:見えない結露を防ぐことが、家を長持ちさせる秘訣
冬の結露対策というと、どうしても「窓ガラス」への対策のみの方が大半です。
しかし、結露を対策するうえで大切なことは、壁や床下など見えない部分に湿気をためないことです。
湿気は、静かに家を傷めていきます。
そのため、冬本番を迎える前に、壁や床の断熱状態や通気をチェックしておくことが大切です。
もし、「壁紙の裏がカビてきた」「床が冷たい」「押入れが湿っぽい」などの兆候がある場合は、
専門業者に点検を依頼してみましょう。
見えない場所の小さな湿気対策が、これから先の快適な暮らしにつながります。
