
■ はじめに:築20年を過ぎた家は「曲がり角」に立っている
築20年を迎えている住宅は、見た目は問題がなくても、家の中では少しずつダメージが蓄積して住宅の「老化」が進んでいます。
その「老化」が表面化してくると外壁の汚れやヒビ、トイレやお風呂の不具合、ドアの立て付け、床のきしみと様々な不具合を起していきます。
しかし、修繕をするにしても「どこから手をつけたらいいのか?」「予算的にどのくらい必要なのか?」などと迷うことが多いのが実情です。
住宅を長持ちさせるには、修繕する際の“優先順位をつけて計画的にリフォームする”ことが大切になります。
今回のブログでは、築20年以上の住宅をどう点検し、どこから直すべきかを具体的に解説します。
■ 1. リフォームの優先順位は「家を守る順」に決まる
まず修繕を検討する前に抑えておきたいことが、「見た目より、家の寿命に関わる部分を優先する」という考え方です。
家は人間の体と同じで、外から見えない“内部の健康状態”が何より大切になります。
見栄えの良い内装よりも、雨漏りやシロアリなどの「構造劣化」を放置する方が、はるかに住宅に対するリスクが大きいのです。
つまり、修繕の優先順位の基本はこの順番となります。
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構造・防水など「家を守る部分」
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暮らしに関わる「設備・機能部分」
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見た目や快適性を高める「内装・デザイン部分」
それでは、修繕についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
■ 2. 最優先:構造・防水など「家を守る部分」
◆ 外壁・屋根
築20年以上経つと、外壁塗装や屋根の防水機能が確実に劣化しています。
外壁や屋根の小さなヒビや剥がれを放置すると、そこから雨水が入り込み、柱や断熱材を腐らせる原因になります。
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外壁のチョーキング(触ると白い粉がつく)
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コーキング(目地)のひび割れ
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屋根瓦のズレ、苔の繁殖
こうした症状が住宅でみられたら、塗装・補修を最優先にしましょう。
外壁塗装は10~15年が目安。築20年なら2回目の塗り替えを検討する時期です。
◆ 雨漏り・ベランダ防水
雨漏りは、家の寿命を大きく縮めるトラブルの一つです。
天井にシミが出来ていたり、カビ臭さがあれば要注意です。
常に雨にさらされている、ベランダやバルコニーの防水層も10~15年程度で劣化します。
表面が硬くひび割れている場合は、早めの防水リフォームの検討が必要です。
◆ 基礎・床下
基礎にヒビや欠けがある、床が沈む、畳の下にカビ臭があるなどの症状がある場合は、
床下の湿気やシロアリ被害を疑いましょう。
見た目はきれいでも、構造材が傷んでいると家が傾くリスクもあります。
床下調査は無料で行ってくれる会社も多いので、まずは点検だけでもしてみましょう。
■ 3. 次に優先:生活に直結する「設備・機能部分」
住宅の構造が健康な状態を保てていれば、次に考えるのは毎日の暮らしに関わる部分の確認です。
◆ 水回り(キッチン・浴室・洗面・トイレ)
給排水設備は、家の“血管”と言っても過言ではありません。
水漏れや配管の劣化が進むと、見えない部分から腐食やカビが広がっていきます。
一般的な設備の耐用年数は以下の通りです。
| 設備 | 交換目安 | 交換時期の症状 |
| キッチン | 約20年 | 水栓の故障・棚の扉の劣化・油汚れの蓄積 |
| 浴室 | 約20年 | カビ・タイル割れ、換気不良 |
| トイレ | 約15年~20年 | 水漏れ・流れが悪い・部品の劣化 |
| 給湯器 | 約10年~15年 |
湯音が安定しない・異音・エラーが頻発する |
水回りのリフォームはまとめて行うと、配管工事を一度で済ませられるため効率的に工事を進めることが出来ます。
◆ 窓・ドア
サッシの建付けが悪くなったり、結露や隙間風が増えてくるように感じた場合、
これらは、パッキンや気密材の劣化・枠のゆがみが原因により、断熱性能が落ちているサインです。
一般的なアルミサッシの耐用年数は約20〜25年と耐用年数は長めですが、
玄関ドアの開閉が重くなったり、隙間風が入る、鍵がかかりにくいといった
症状が出ていれば25年経過していなくても交換の目安時期と言えます。
最新の断熱窓や玄関ドアは、気密・防音・防犯性能が大幅に向上しており、
冬の寒さ対策や光熱費削減にも高い効果があります。
◆ 電気・配線・照明
住宅内の電気配線は、年数が経過すると漏電リスクが出てきます。
特に、築25年以上の住宅では気を付ける必要が発生します。
■ 4. 最後に検討:内装や快適性アップのリフォーム
ここまでのリフォームで“家の健康”と“暮らしの基本機能”を整えることが出来ます。
次に検討するべきなのは「気持ちよく暮らすための空間づくり」について考えていきましょう。
◆ 壁紙・床・天井
壁紙の貼り替えは部屋のイメージを変えるだけではなく、ニオイやカビを防ぐ効果もあります。
床材も20年を過ぎると、傷・軋み・色あせが目立ってきます。
フローリングを無垢材に変えたり、防音・抗菌タイプに変えたりすると、生活の質を良くすることが出来ます。
◆ 収納リフォーム
家族構成の変化があった場合、収納を見直す時期でもあります。
壁面収納やパントリーを増設するだけでも、暮らしの快適度がアップします。
◆ 間取り変更・バリアフリー化
子どもの独立や親の同居など、ライフスタイルが変わると、家そのものの使い方も変わります。
壁を抜いてリビングを広くする、段差をなくす、手すりを設置するなど、
「今の自分たちに合った家」にするリフォームはこのタイミングで検討するのが良いタイミングです。
■ 5. 優先順位を決めるためのチェックリスト
リフォームの順番を迷ったら、次の5つの質問で整理してみましょう。
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雨漏りや構造の不具合はないか?
→ “命と家の寿命”に関わる部分は最優先に修繕しましょう。 -
水漏れ・配管トラブルはないか?
→ 修理を後回しにすると、壁内で腐食が進行します。 -
冬の寒さ・結露・光熱費の高さが気になるか?
→ 断熱・窓リフォームで大幅に改善できる可能性があります。 -
家族の生活スタイルに合っているか?
→ 使わない部屋・不便な動線があれば、間取り改善を検討しましょう。 -
あと何年この家に住む予定か?
→ 10年以上住むなら、長持ちするようにリフォームを検討しましょう。
5年以内に住み替え予定なら、見た目重視のリフォームでもOK。
■ 6. 費用を抑えるコツと補助金活用法
◆ まとめて工事をする
同じエリア(例:外壁+屋根、水回り全体など)を一度に施工すると、
足場代や職人の出入りコストを抑えられます。
◆ 補助金・助成金を活用する
国や自治体の制度を使えば、断熱窓・省エネ給湯器・バリアフリー工事などで数十万円の補助が受けられる場合もあります。
毎年更新される支援制度をホームページや市町村の広報誌でチェックしてみましょう。
◆ 優先順位を「修繕」と「改良」に分ける
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修繕系:外壁、屋根、配管、水漏れなど → 放置せずに早めに修繕するようにしましょう
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改良系:間取り変更、デザイン、収納など → 予算に応じて計画的に行いましょう
この2つに分類分けすることで、無理のないリフォーム計画を立てられます。
■ 7. 築20年を過ぎた家で“やってはいけない”こと
最後に、リフォームの失敗に繋がる注意すべきポイントをご紹介します。
✕ 見た目重視でリフォームの優先順番を間違える
内装を先にきれいにしても、外壁や屋根からの雨漏りがあれば意味がありません。
まずは構造系リフォームをすべきところがある場合はそちらを最優先にしましょう。
✕ 部分的な修理を繰り返して費用がかさむ
部分的な修理は一見安く済んでも、10年同じような修理を繰り返すと合計費用が大きくなる部分もあります。
リフォームする際は、依頼する会社に全体のプランを立ててもらうのがおすすめです。
✕ 安さだけで業者を選ぶ
「とりあえず安い業者で…」と内容を確認せず料金だけで決めてしまうと、後で手直しや追加工事の費用が発生する場合があります。
施工を依頼する前に見積もりを最低3社同条件で比較して、内容の内訳を確認しましょう。
■ 8. まとめ:リフォームは「順番」と「計画」で決まる
築20年を超える家は、放置すれば劣化が加速し、修繕費が倍以上に膨らむこともあります。
逆に、正しい順番で手を入れれば、まだまだ何十年も快適に住み続けられます。
リフォームの基本方針は以下の通りです。
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家を守る部分から直す(構造・防水)
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暮らしの機能を整える(水回り・窓・配線)
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快適さとデザインを高める(内装・収納・間取り)
そして、今の家に「あと何年住みたいか」を軸に、無理のない計画を立てましょう。
■ 最後に:まずは“点検”から始めよう
リフォームは「壊れてから」ではなく、「壊れる前」に着手することが大切です。
築20年を過ぎており、うちは大丈夫かな?と思われた方は、まず外壁・屋根・床下・配管の点検を依頼してみてください。
プロの目で見れば、「まだ大丈夫な部分」と「今すぐ直したほうがいい部分」が分かるため、今後の計画を立てやすくなります。
計画的に手を入れながら、大切な家を次の10年、20年へそれが“賢いリフォーム”の第一歩です。
セットホームでは、随時リフォームのご相談を受け付けしております。お気軽にご相談ください。
